10号 特 集 〜 巨大乳頭結膜炎....コンタクトレンズをどうしよう。
コンタクトレンズ定期診察での 会話・・・・
「なぜかコンタクトレンズが上にずれてくるんですが、、、。」
上のまぶたをひっくり返しては
むむっとしかめっ面の医者。
むむっとしかめっ面の医者。やおら
「巨大乳頭結膜炎ですね。治療します。薬でますから。3〜4ヶ月はかかりますね。コンタクトレ
ンズは中断して下さい、これで廃 止にするとよいのですが,,,」
「え〜?キョダイ〜?けつまくえん?ってなんですか。別にちょっと不調なだけで、痛くはないんですけど?」
「いやいや立派な結膜炎ですから使っちゃだめです。」
こんな会話が 最近多いですね。十年前は年に一人か二人だったのですが、ここ1〜2年は日に一度はこんな話をしています。
これはコンタクトレンズ特有の結膜に炎症がおきる「
巨大乳頭結膜炎 」が増えてきたためです。giant papillary conjunctivitis、よくGPC
と略して言います。日本人の体質が変わってきたのか、コンタクト人口が多いためなのか増加原因はよくわかりませんが、この疾患のためコンタクトレンズを使えない方が増加中です。
ソフトもハードも酸素の通りを良くするためにレンズは材質的に
隙間があるので、涙に含まれるタンパクやホコリなどが表面につきやすい状態になっています。レンズの表面についたそんな付着物な
どが原因で、結膜、特に上まぶたの裏側にアレルギー反応が起こる
ことがあります。 症状としては、目のかゆみや充
血,ごろごろしたり目やにがでたりまた、レンズが曇ったり汚れやすかったり、ずれたり張り付いたりします。初期にはなんらの症状
がないかたもあって、定期の診察 で指摘されてはじめて気づくかた
も多々。
上まぶたの裏側に「乳頭」という1ミリくらいのぶつぶつが出来ま
すから、診断をつけるのは比較的 容易で顕微鏡での診察さえ受けれ
ばはっきりすることが多いのです が治療は、コンタクトをやめなけ
ればいけないし、時間がかかるし
なかなかたいへんで・・・・。
● 角 膜 炎 を治す時期:
黒目に影響がでてしまっている場合はまずこれを治療します。方法は点眼内服眼帯といった他の原因によるびらんや潰瘍と同じく急を要し
ます。入院になることはめったにないようです。視力がうまく回復するか、角膜に不治の濁りが残るかどうかが治療の課題ですね。
● 結 膜 炎 を治す時期:
次のステップは結膜の炎症をおさ
めることに集中します。方法はアレルギー性結膜炎と同じで、コンタクトレンズ使用を中断したまま点眼治療を行います。数週間がめどでしょう。
● 結 膜 乳 頭 を治す時期:
ここまでくればだいぶのんびりできます。抗アレルギー剤点眼を数ヶ月にわたりつけます。乳頭による凸凹が平たくなるまでが目標です。この間もコンタクトレンズ使用を中断するのが原則です。もし使用すると使った分だけ後戻りしますので。経験上は3ヶ月から半年くらいで治癒平坦化することが
多いようです
● 再 発 予 防 をはかる時期:
通常は、診断確定と同時にコンクトレンズを使うことを廃止します。以後眼鏡のみで生活します。
ただまれに職業上の理由といった、どうしても使わざるをえないかたの場合、再発が問題で、3ヶ月から半年くらいかけて結膜乳頭
まで治れば相談にのることもある のですが、最大の予防処置をはか
って使用する必要があります。
その方法は・・・
◎使用日数、使用時間の減:
必要の深いときだけ使う、という ことが原則になりますので、冠婚
葬祭のときだけとか月に一度とか 週に一度二度といった使い方をします。
◎徹底した清潔管理:
タンパク除去剤等の処埋を確実に
行う。汚れが落ちにくい場合は早めに新品を用意する。
◎予防的点眼の使用:
抗アレルギー剤点眼を長期にわた たり併用します。このため点眼と併用可能なコンタクトレンズを選
択する必要があります。
◎コンタクトレンズの種類選択:
じつはあまりうまいレンズというのはないのですが、1
日ごと交換するタイプ(ワンデイ)のものが再発率は一応少ないようです。めやにごと捨ててしまうし、レンズの上から点眼が可能なためでしょう。
第二選択は二週間ごと交換のソフト系レンズかハード系レンズです。二週間ごと交換のソフトレンズは上から点眼ができない点で不利なのですがやはり定期的に新品をおろす点で評価できます。
ハード系レンズは上から点眼ができるのでよいのですが、この場合材質劣化がはやい傾向があり、か
なりこまめに新品にかえる工夫や費用がかかります
それにしてもややこしい名前の病気があるものです・・・!
病 名: 巨大乳頭結膜炎(giant papillary
conjunctivitis、GPC )
分 類: アレルギー性結膜炎(allergic
conjunctivitis ) : 即時型
疫 学: 花粉症、アトピー、結膜炎等アレルギー性疾患の既往のある場合
contact lens (特にsoft lens )使用者に多い
好発部位: 上眼瞼結膜
病 因: contact lens付着物の蛋白による感作。2次的な刺激。
白内障の術後にナイロン縫合糸が残った場合も同様。
義眼の場合も同様。 |
------安心してコンタクトレンズを使うために------
●装用時間の指定を忘れず守りましょう。終日装用は最長十六時間。
●目が乾きやすい日、目やにが多い日など不調なときは装用時間を減らし
夕方は早めに切り上げ。レンズケ−ス常に携帯。
●常に清潔管理。手洗いこまめに。取扱説明書熟読。
●目の調子がよくても、定期診察必ず。
3ヶ月に一度が最低ラインです。カレンダ−にメモ。
●少しでも異常を感じたら、すぐに眼科受診。
●コンタクトレンズは常に使えるものではありませんし、いずれは廃止し
て眼鏡にもどるもの。(酒たばこみたいですね)メガネの用意もおこ
たらず、うまく併用。 |
( ひとみつうしん10号 終了。平成12年10月25日)
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