遠視 近視 乱視の正式な診断法 , 精密屈折検査などについて解説してます。

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6号 特 集 〜 屈折検査 ・ ・ ・ どうやって測るのかな ?

*目には 焦 点 距 離 が ある。

 各人の目にはカメラやビデオ装 置と同じように、それぞれ固有の 焦点距離が決まっていまして機械 などで測定することができます。 この焦点距離が前方10mとか2 0mなら遠くのものにピントがあ うことになります。

 これが1mとか50cmのかた もいます。この場合は遠くの物体 にはピントが合いません。近くの ものは見えるが遠くのものはピン ぼけということになります。単純 に言えば、これが近視です。
 中学生時代の理科の教科書を思い出してみると、虚の焦点という言い方があったと思います。焦点 がレンズの後方にある場合で、つ まりはどこにもピントが合わない のです。これが遠視に相当します。

* 調 節 の お か げ で 大 丈 夫 。
 それじゃ遠視の目は何も見えないじゃあないかということになり ますが、、おっとどっこい、人間 の目は焦点距離を変化させて、調 節する機能を持っていますので大 丈夫です。自動焦点ビデオカメラ と同じですね。
 機械と違う点は、この調節機能は内眼筋を使うため、長時間働か せるとくたびれてきます。そのため遠視の人は長時間ものをみつめ る作業をすると疲れてしまって能 率が悪いことがおおく、特に学童 の場合には読書嫌いの一因となります。
 調節というと、近視の人が遠く にピントが合うような調節はできないのですかという質問がでます が、残念ながら内眼筋の構造上それはできません

*調 節 力 が 強 過 ぎ て 困 る ?
 この調節機能は年とともに衰えてきて老眼の発生原因なのですが、一方子供では調節力が旺盛すぎて屈折検査のデ−タ−攪乱の一因となります。 つまり遠視のはずが、検査の時に調節力を働かせてしまうため正視とでたり、場合により近視とでたりします。(・・調節緊張)
 また日常生活の中で、調節力が不必要に強いお子さんもいて、かえって見にくくなります。(・・調節痙攣)
 この場合、デ−タ−は近視と出ることが多くて、ひょっとすると遠視の目なのに近視の眼鏡を持っていたりします。
  困りましたね。調節力のおかげで屈折検査が不正確になります。そこで検査前に閉瞼安静の時間をとったり、雲霧法というテクニックで目を休ませたりしてから、測るのですが、これも万全ではあり ません。
 実は、ありがたいことに調節麻 痺剤というお薬がありまして、これを点眼すると一時的に調節機能 を止めることができますので、眼科医はこれを用いて調節痙攣の診断や治療に応用しています。 最終的にはこの方法が確定診断と なります。

* 乱 視
もうひとつ機械と違う点は、人 の目は縦方向と横方向で微妙に焦 点距離が異なることです。つまり 乱視です。カメラレンズの磨き出 しは縦横のズレがないように研磨機をかけるわけですが、やはり生命体ですからそうはゆきません。
 微細な乱視はほとんどのひとが 持っていまして、厳格な測定を行 えば、体験上9割以上の方に検出されます。

*測 り か た は,,,
この測りかたはいくつかの方法 があって、眼科医はそのうちのい くつかを組み合わせて判断をします。初測定は・・・機械で数字をとりそのデ−タ−を元に視力測定をすすめながら、微 調整して細かい数字を決定します 。この方法はいつでも実行できま すが、子供では正確度の点でやや 難しいですしまた結膜炎など眼疾患を持っているとさらに難しくなります。
 精度の高い方法は、調節麻痺剤による精密屈折検査です。正確な 数字がとれて確定診断となるのですが、手間暇がかかり、受ける方も時間や事前準備が必要です。

 初測定のデ−タ−の安定度などから総合判断して、

1. 精密屈折検査・省略可能

2. 後日再検査のうえで再度判断

3. 精密屈折検査・必要

といずれかに決定することになり ます。

ここで眼科医が考えるのは 「どのレベルまでやるべきか?」です。調節麻痺剤による精密屈折検査まで施行したほうがよいかどうか?検査薬も強いもの弱いものいくつか段階がありますのでどのレベルの検査薬まで使うか?

 判断の基準は施設により異なる のが実情ですが、おおむね10歳 以下の子供は最終的には精密屈折 検査で確定診断に持ち込んでいる 医院が多いと思います。また矯正 視力が異常値にでる場合もそうです。 大学の付属病院のように高度医療 を行う施設では全員精密屈折検査 が普通のようです。

*屈折異常の検査法(表)

検影法skiascopy 簡便 
乳幼児でも検査可能
レフラクトメーター 乱視軸の検出には有用。器械近視の入ることがあり、乳児、瞳孔偏位のある目では測定不能。
自覚的検査法  検査用レンズを用いて最良の視力を得る価をもってあらわす。
注意点 調節が加わり正確な価が得られないこともあり、遠視眼が近視眼と誤られることがある。調節麻痺剤使用後の検査が必要。

*調節麻痺剤名(表)

一般名 商品名、組成/ 使用法
硫酸アトロピン 0.5%〜1%リュウアト1%眼軟膏 1日1回〜3回
15分から2週間作用持続
ホマトロピン 0.5%〜4% 1日1回
2日間作用持続
塩酸シクロペントレート サイプレジン1%  1日1回〜2回
1時間から2〜3日作用持続
トロピカミド  ミドリンM0.4%
ミドリンP0.5%
(塩酸フェニレフリン0.5%含有) 
3〜5分ごとに2〜3回
30分から3〜4時間持続

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( ひとみつうしん6号 終了.平成10年6月10日) FAQ〜小児の屈折,遠視,弱視,斜視 はこちら      


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