3号 特集〜アトピ−を考える 、、、うまくつきあうコツは?
アトピーという言葉はギリシャ語のアトピアから由来していますが、不思議なという意味を持っています。このアトピー性皮膚炎の原因はいまだ完全にはわかっていませんが、遺伝的になりやすい体質というものがあるようです。 からだはもちろんですが、目もかゆいことが多く、思わず目をゴシゴシかいてしまうことがあります。そうしているうちに、なんとなくものが見えずらくなったり、光がまぶしく感じるようになってきていませんか? アトピーは目の玉にも影響があります。このことがわかってきたのは最近のことなので知識として定着するには時間がかかりそうです。幼いお子さんですと自分では症状をうまく表現することができずそのまま我慢していたり、大人だとまた目のまわりがかゆいのだと考えて放置していたりする例がみうけられます。 かゆみの発声場所はまぶたの皮膚だけとはかぎりません。アトピーはアレルギーのひとつですので結膜炎、特にアレルギー性結膜炎を同時に持っていることは多く、これは目の玉の表面をおおっている粘膜の炎症です。 粘膜刺激症状としてのかゆみ、痛み、目やにの分泌量に注意を払いましょう。角膜という黒めに炎症が及ぶこともあります。特殊な検査薬をつけて眼科専用の顕微鏡で調べてもらうとわかります。治療は点眼薬が中心となります。活動期は強力なお薬で、落ち着いてきたら予防薬でコントロールをつけてゆきます。 アトピーと近視や乱視とは直接の関係はないようですので眼鏡の使用にはさしつかえありません。しかし結膜炎の発生時や黒目の荒れている時には視力測定の結果が不安定になりがちです。新たに眼鏡を作る場合はめやにやかゆみの少ない状態のよい日を見計らって来院のうえ検眼してもらうのがコツでしょう。 コンタクトレンズは黒目、角膜にのせて使用するのですが、アトピーの方はその負担に耐え切れず、結膜炎を誘発したり、角膜炎をひき起こす事例がやはり多くて適応はうすいものです。使わずに済めば最も健康的です。 入学試験、就職、お見合い、結婚式等どうしても必要性が高い時には制限時間を設定したり、予防的点眼やレンズ規格の工夫をすることでのりきれることもありますので、一概に諦めることもありません。 子供の頃からアトピー性皮膚炎が発症している場合は、10代〜20代でも白内障がでることがあります。これは水晶体が濁るもので進むと視力が落ちます。原因は確定していませんが、かゆみから自分で強く目をこすったりする物理的刺激ではないかといわれています。 拳闘の選手に白内障じゃ網膜剥離が多いのと同じ理屈ですね。進んだ場合は一般の診療や視力検査でわかりますし、ごく初期のものは散瞳して内眼の精密検査で明らかになります。 アトピーの方にこれが多い原因はやはり、こすったりする物理的刺激だろうと言われています。この病気はいくつかの段階があります。 網膜周辺部変性:網膜の一部に脆弱な部分が発生します。たいていは端のほうです。 網 膜 裂 孔:それがすすむと亀裂がはいることがあります。穴があいても痛くはありません ので自分では気がつきません。 網 膜 剥 離:何かのきっかけで穴の縁がめくれるとたいへんです。長くこの状態が続くと細胞が機能を失います。これが網膜の中心部に進行すると視機能が失われます。 以上のどの段階でも散瞳して内眼の精密検査で明らかになります。レーザー光凝固術といった予防的な治療もありますので、早期発見しておけば大丈夫です。網膜剥離が進行してからでは入院緊急手術になりますので一度は正式の内眼精密検査をうけてことがよいでしょう。 ステロイドはまことによく効く薬でアトピー、アレルギーの治療にはかかせませんが、長く使うと副作用として眼圧が上がってしまうことがあります。特にステロイドの点眼薬を使用する場合には眼圧のチェックがかかせません。ごく短期間の使用は大丈夫なことが多いですし、影響を受けない方も多いので薬を怖がることはありません。処方医は副作用チェックの時期も念頭にいれて再診予定を¥決めています。次回再診の時期を忘れないように心掛けましょう。 検査方法が高度化したことにより早期発見が多くなったことがあるのかもしれませんが、最近アトピー性皮膚炎による目の病気は低年齢化、重症化している印象があります。学童期、学生期の方が多いので、学校生活に支障をきたす前に一度は眼科診療、内眼精密検査を受けておくのがよいと考えています。 ( ひとみ つうしん 3号 終了。平成10年1月19日) |
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